「──……最後に、これだけ、もうひとつ」 全部じゃなくていいので、わたしが白井くんを大切に思ってるの、少しくらいはわかってください。 「…………宮坂さん」 「はい宮坂です」 「俺、心臓がえぐい音たててるんですけど」 「えぐいとか、白井くんも言うんですね」 「宮坂さんは俺のことを美化しすぎだと思いますよ」 「どっちが」 ねえ白井くん。使ってくれます? ありがとうございます、なんて、白井くんははにかんで。口元に折り曲げた指先を添えた。