「わたしもひとつ持ってるんですよ、だから」
「お揃いですか!?」
「まあ大変不服ですがそうなりますね」
「かばんの外側につけて自慢します」
「ささやかすぎて伝わらないと思いますよ、わたしは中に入れてますし」
「外側につけてください」
「いやですよ、お揃いじゃないですから」
お揃いじゃないんですか? お揃いとも言いますけど。じゃあお揃いですね!
「あと、白井くん。これ」
貸してあげます。なんて。また上から目線。
「……手袋?」
「わたしも結構、手、大きいほうなんですよ。だから入らないなんてことは、たぶん、ない……はずです」
「でも俺が借りちゃったら、明日の宮坂さんは寒いじゃないですか。今日はよくても、」
「いいんですよ。……だって、わたしには返せる何かがこれ以外わからなかったっていうか」



