完全にうつむいた白井くんに、いてもたってもいられなくなってしまって。ちいさい、と言われた1歩を限界まで大きく大きくし、白井くんの真ん前に立つ。
「み、やさかさん? 近いですね……」
「真正面からこの距離って、なかなかしないですもんね」
「あの、宮坂さん」
あわてる白井くんをじっと見つめる。わたしよりも背が高くて、わたしよりも声が低くて、そんなひとがいま、あわててるんだ。
「ごめんなさい、白井くん。わたし、すっごくわがままなんです」
「……え? そう、なんですか」
「だから、いつかちゃんと白井くんをふる日、なんていうものが、来るのかどうかわかりません。なんだったらお付き合いはできないけど友達でいてくださいなんて言うかもしれません」



