たすけて!田中くん

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「い、意味がわからない……ランチョンマットを何故作らないといけないの。これ瞬間接着剤でくっつけちゃダメなの? いや、むしろこの布切れ一枚でランチョンマットでよくない? リバーシブルにする意味ある?」



家庭科の課題をすっかり忘れていた私は放課後の教室で布と向き合っていた。

裁縫が得意な弟にやってもらおうかと思ったけれど、うますぎて私がやったんじゃないって田中くんに確実にバレる。

そして不正をした私を軽蔑するに違いない。田中くんに嫌われるのは嫌だ……。


家庭的なことが全くできない私にとって、これは地獄だ。どうして軽いノリで家庭科を選択してしまったのだろう。


「縫うだけで終わるじゃん」

全人類できて当たり前だけど?なんでできないの?とでも言いたげな田中くんに、少し苛立つ。できる人にはできない人の気持ちなんてわからないんだ。

呆れたように田中くんが冷ややかな視線を向けているのがわかる。

私がサボらないようにと監視の意味で田中くんは一緒に居残りしてくれているらしいけれど、アドバイスすらくれないで田中くんはマイペースに本を読んでいる。