教室に戻ると、私を待っていたのはとっても綺麗な微笑みを浮かべている田中くんだった。
田中くんの笑顔……!
レアなんだけど、恐怖心を抱いてしまう。
「随分と仲良さそうに登校してたね」
「だ、断じてそれはないです!」
「へえ、腕掴まれて肩を抱かれながら二人でどこに行ったの? 教室にくるの遅かったから、どこかにいってたんだよな?」
いつも以上に言葉が刺々しくて、メガネの奥の目が冷たいように感じる。
「……保健室に」
消えそうな声で答えると、隣の席から吐息が漏れるのがわかった。
「へえ、保健室に?」
「いやその、あの、うん……あの人が手怪我してるかとで、手当をさせられて」
「どうして喜久本が?」
なんだろう。この咎められている感じは。
いや、でも別に私はなんにも悪いことはしていないはずだ。
「他校の奴等に拉致られるところを助けてもらって……」
「けど、それって元はと言えばそいつらのせいだよね」
田中くんの言う通りだ。
そもそも他校の奴等に拉致されそうになったのは、敦士たちのせい。
私個人が敦士に迷惑をかけたわけではない。
「なに絆されてるの?」
「た、田中くん、怒ってる?」
「……べつに」



