たすけて!田中くん


「離して」

「〝彼女〟と一緒に登校くらい普通だよな」

わざとらしく彼女を強調しながら声を大きくして言ってくる

この男は、一体なんのつもりでこんなこと言っているの!?



目を見開いて口元を引きつらせると、敦士が意地悪く微笑む。


「照れるなよ」

「いや、照れてな」

「凪沙、早くふたりになれるとこ行くぞ」

はぁあああ!?と叫んで逃げ出したい衝動に駆られたけれど、敦士の力が強くて逃げ出せない。

わざとだ。私が彼女じゃないって否定できないようにわざと皆の前でこんなことしているに違いない。


絶望的な顔をして項垂れている女子生徒や、顔を真っ赤にしている女子生徒のどなたかにこの状況を変わっていただきたい。


私にはなに一つ嬉しくない。むしろ、絶体絶命すぎる。

こわくてもう窓を見ることができない。




た……田中くん。

どうか私と友達をやめないでほしい。