たすけて!田中くん



「は?」

「二択だ、選べ」

意味がわからないまま敦士の家だけは危険な気がして、「保健室」と答えてしまう。

状況が飲み込めていないというのに、敦士は学校への道を進んでいく。



「私、特に怪我してないし、貴方もしてないですよね?」

「拳が痛い。怪我したな、これは」

「いや、嘘でしょ……」

私の腕を掴んでいる手は全然痛そうじゃない。赤くすらなっていない。

というか、掴まれている私の方が痛い。



「ここに来る途中、猫に引っ掻かれた」

「それ、私関係ないですよね?」

「眠たい」

「あの」

「いいから、お前も来い。助けてやったんだから」


それを言われてしまうと拒めない。

助けてもらったのは事実。

多分あのときこの人が通りかからなくて助けてもらえなかったら、厄介なことになってただろう。



「いや、でも元々はそっちのせいですけど」

私の言葉に敦士は口角を上げて、「それは悪かったな」とまったく悪びれていない顔で言った。