「てめぇ、なに笑ってんだよ。気色ワリぃな」
眉間に皺を寄せて睨みつけてくる男ににっこりと微笑みを向けて、自ら男との距離を縮める。
なんでこのタイミングで立ち止まって行動に移したのか、きっとこの男にはわからなかっただろう。
そして、男に抱きついた。
明らかに身体を硬直させている男の耳元でわざと息が吹きかかるように囁く。
「たった今……私の勝利は確定した」
「は?」
そして、冷ややかな目のまま私は微笑んだ。
抱きついている男にではなく、その少し先にいる男に。
「私を助けてください。巻き込んだ責任、とってくださいよ」
鳴り響く防犯ブサーに負けないように、一層低い大きな声をあげる。
「へえ、俺に助けを求めるのか」
男はおもしろがるように唇で弧を描いた。その表情が癇に障る。



