「お前、抵抗しないフリしやがって」
「私と敦士に関して嘘はなに一つ言ってない。だけど、素直についていくヤツがどこにいるわけないでしょ!」
目の前の男に向かって、思いっきり舌を出す。
未だ防犯ブザーは鳴ったまま。
通行人はヒソヒソとこっちを見ているか、怯えた様子で横切っていく。
……もしかしたら助けてくれる大人がいるかもと思ったけれど、甘かったみたいだ。
まあでも、みんな厄介なことには関わりたくないか。下手なことして被害を被りたくないだろう。
それに今は朝の通勤通学時間帯。忙しい朝に高校生同士の喧嘩になんて、構っていられない。



