「私はあの子のように、ただ守られている存在でもなんでもない」
「は?」
攫うなら断然あの子の方が敦士たちを脅す効果がある。それなのに私を拉致しようとするなんて、見る目がなさすぎて呆れてしまう。
「そもそも、本当に敦士の彼女で守る価値があるのなら、今ここで一人でなんて歩いていないよ」
そう、あいつらは私を守る気なんて微塵もなかった。
そしてこういう事態になる可能性だってわかっていたはずだ。
勝手に巻き込んだくせに最低だとは思うけれど、だんだんと彼らの目的がわかってきた気がする。
「そんなこと言って逃げてぇだけだろ!」
「だって、あいつらは私が敦士に恨みがある連中に狙われていることを知ってるよ。だけど、何もしない。その意味は一つだよ」
なんだか自分で言っていて虚しくなってきてしまう。けれどこれが事実だ。
「喜久本凪沙に守る価値はない。つまりは敦士の大事な存在ではないんだよ、私は」
両腕を広げて、降参でもしたかのように笑う。
男達は疑心を抱いているようで、顔を顰めている。
「それでもいいのなら、どうぞ私を連れて行って」



