たすけて!田中くん

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「喜久本凪沙、だな?」

ここ数日のうちに何度絡まれるのだとうんざりしてしまう。

なんか今回の男は体格がよくて、しかも人数が多い。

最悪だ……と顔を顰めながら思考する。


どうやって逃げるのが一番いいだろう。向こうもあえてひと気の少ない道を選んで声をかけてきたようだ。

同じ学校の生徒もここを通るけれど、当然関わりたくないため見て見ぬ振りをしている。


学校と近い位置ではあるため、思いっきり走ればなんとか逃げ切れる可能性はあるけれど、歩いている生徒たちを巻き添えにしてしまいそうだ。


「お前が敦士の女なんだよな」

「違います」

「俺らはアイツらに借りがあんだよ」

人の話を聞く気がない背の高い熊みたいな男は、威圧感たっぷりな眼差しで私を見下ろしてくる。

この体格差ではさすがに力で敵わない。