「凪沙」
声をかけられて、ゆっくりと視線をあげていくと傷んだ金髪が目に止まった。
「お前、やっぱりとんでもない女だな」
呆れた言い方だけど、怯えたような強張った声。
突然こんなことを言ってくるなんて意味がわからない。
「なに急に。私のこと嫌なんじゃなかったの? サトシ」
「嫌に決まってんだろ!」
「じゃ、話しかけにくんな」
うんざりとした顔を見せると、サトシが顔を顰める。
「お前忘れてるかもしれねぇけど俺の方が年上だからな!」
「忘れてた」
「だよな! だと思った!」
幼い頃から近所の知り合いだったから、あんまり気にしたことなかったけど、サトシって一個上だった。
けど、先輩って今更呼んでもお互いに寒気がすると思う。
「お前ひとりだけ歪んで育った原因はなんなんだよ……」
「私が聞きたいわ」
「美波ちゃんとか潮みたくなんでまっすぐ育たなかったんだろうな」
哀れむような視線を向けられて、睨みつける。
美波ちゃんと潮と比べられる話題は、我が喜久本姉弟ではあるある話題のひとつだ。



