返事に困っていると、田中くんが小首を傾げた。
「バナナオレ嫌いだっけ?」
「ち、ちがくて!」
もしや田中くんはそういうのを気にしないタイプなのだろうか。というか私が気にしすぎなのかもしれない。
「じゃあ、なに」
怪訝そうな田中くんに、なんだか間接キスのことは恥ずかしくて言えない。
代わりに別の言葉を必死に絞り出そうとするけれど、いい案が思い浮かばない。
代案がないのなら、ここはなんとしても話題を逸らさなくては。
他に会話……なにか気を逸らせそうなものはないだろうか。
「たっ、田中くんの好きな人ってどんな人!」
「は? なにいきなり」
「いやなんとなく!」
うわあああと頭を抱えたくなる。いくらなんでも急にこんな話をしても引かれる。
私たちは今まで恋バナなんて一度もしたことがないので、盛り上がる想像がつかない。
「女」
さらりと答える田中くんに、口をぼかんを開けてしまう。
「ええっと、もっと他に言い方が……」
「人間」
この人、会話のキャッチボールする気なくない?
そもそも、いないって答えないってことはいるのだろうか。



