「えっ?」
「髪、乱れてる」
「……あり、がと」
どうやら風で髪が靡いたせいで乱れたらしい。
突然のことに動揺した私に対して、田中くんは余裕そうな微笑みを浮かべている。
時々大人びた色気を漂わせる表情になるのが、なんだか慣れなくって照れくさい。
私から離れていく田中くんの指先をじっと見つめていると、バナナオレの元に戻っていった。
「なに?」
「え……っと」
「ほしいの?」
バナナオレを傾ける田中くんに、先ほどとは比べ物にならない動揺が襲ってくる。
いやいや、ダメでしょ!
それは間接キスになっちゃいますよ、田中くん!と突っ込みたいけれど、口にしたら冷めた目を向けられるに違いない。



