たすけて!田中くん



席を立ってベランダへと足を進める田中くんの後を追っていく。

……綺麗な黒髪。

線が細いけど、並ぶと田中くんは私よりも背が高い。

あの手がちょっと骨っぽくて、男の子なんだなぁって感じる。普段はなんというかあまり性別を感じさせない人だから、こういうとき余計にそう思ってしまう。


ベランダに出ると、緩やかな秋風が吹いていて心地いい。

空は雲ひとつない晴天で、窓をしめると教室の声が遮断されて、静かになった。



「座れば」

立ったままだった私を、座り込んでいる田中くんが見上げてくる。手にはバナナオレを持っていて、くつろぐ気満々だ。

隣に座ると田中くんの指先が、何故か私の口元に伸びてきた。