たすけて!田中くん


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教室でクリームパンを頬張っている私に対して、田中くんの視線が厳しい。

どうかこれを食べ終わる頃には田中くんの機嫌が直りますように。


「で、遅刻したと?」

「は、はい」

「ふーん。馬鹿だね」

田中くんってば、今日も冷たい。

でもどんなに塩対応されても、この決意は揺るがない。


「田中くんのことは私が守るからね!」

「は?」

「だから田中くんは安心して過ごして!」

私の言葉の意味がわからないらしく、田中くんが眉間にシワを寄せる。


「てか、食べながら喋るな」

「ご、ごめんなさい」

アイツらに田中くんへ手を出させないためには、百瀬さんと一緒に過ごしていればいいはずだ。


「最近疲れてるね」

「……そりゃ疲れるよ」

「目の下の隈すごいし」

それは夜更かしして漫画読んでたからだけど、口にしたら叱られそう。


「気分転換にベランダでも出る? 次自習らしいし」

「え? でも、ベランダって出ていいんだっけ?」

「んなこと、バレなきゃいいんだよ」

意外と田中くんってこういうところがある。真面目そうに見えて、ルールを無視することも多い。