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家に着き、無理やり手洗いとうがいをさせてから、酔っ払いをベッドに放り投げる。
あの酔っ払いは、俺が促さないとすぐにベッドに寝転がろうとする。あ、スーツ脱がせるの忘れた。最悪だ。皺になる。
冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して、凪沙の元に持っていくと珍しくスーツを自ら脱いで、部屋着に着替えていた。
普段はそのまま寝てるか、うだうだ何か言って寝転がってるのに珍しい。
「水」
「ありがと」
手渡された水をごくごくと飲むと、凪沙は表情を緩めて俺に笑顔を向けてきた。
アルコールでほんのりと赤くなった頬に少し潤んだ瞳は、いつもよりも色気を感じる。
「やっぱり田中くんがいいなぁ」
「は?」
「柳さんはやだなぁ」
酔っているからか口調が子どもっぽい。
てか、柳って誰だよ。
「なんかねぇ、柳さん近いんだよ〜」
「もしかして、さっきの男?」
「ん〜?」
肯定だか否定だかよくわからなかったけど、多分あの男のことだろうな。
ジャケットをハンガーに掛け、ネクタイを緩める。ついでに凪沙のも掛けてやろう。
「あのさ」
凪沙からペットボトルを奪い、ベッドの上で向かい合うように座った。



