たすけて!田中くん


***


家に着き、無理やり手洗いとうがいをさせてから、酔っ払いをベッドに放り投げる。

あの酔っ払いは、俺が促さないとすぐにベッドに寝転がろうとする。あ、スーツ脱がせるの忘れた。最悪だ。皺になる。


冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して、凪沙の元に持っていくと珍しくスーツを自ら脱いで、部屋着に着替えていた。

普段はそのまま寝てるか、うだうだ何か言って寝転がってるのに珍しい。


「水」

「ありがと」

手渡された水をごくごくと飲むと、凪沙は表情を緩めて俺に笑顔を向けてきた。

アルコールでほんのりと赤くなった頬に少し潤んだ瞳は、いつもよりも色気を感じる。


「やっぱり田中くんがいいなぁ」

「は?」

「柳さんはやだなぁ」

酔っているからか口調が子どもっぽい。
てか、柳って誰だよ。


「なんかねぇ、柳さん近いんだよ〜」

「もしかして、さっきの男?」

「ん〜?」

肯定だか否定だかよくわからなかったけど、多分あの男のことだろうな。

ジャケットをハンガーに掛け、ネクタイを緩める。ついでに凪沙のも掛けてやろう。



「あのさ」

凪沙からペットボトルを奪い、ベッドの上で向かい合うように座った。