たすけて!田中くん

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放課後、一緒に帰っていると喜久本が俺の顔を覗き込むようにしながら質問をしてきた。


「田中くんが私のこと好きになったのっていつ頃?」

「……忘れた」

「えー!」

正直いつ頃って聞かれても、あまり素直に答えたくない。春からだなんて言ったら、絶対驚かれる。

喜久本はつまらなさそうに口を尖らせてしまった。

付き合っても特に急激な変化はなく、いつも通りの日常だ。

変わったのはこうして二人で一緒に帰るようになったくらいかもしれないな。



「だってさ、田中くんが私のことを好きでいてくれたなんて思いもしなかったんだ」

「それは俺も同じだけどね」

喜久本はいっつも阿保なことばかり考えていて、恋愛とかそういうのとは無縁なように思えた。

だから、俺のことを好きって言ったときは本気で驚いた。


「私って凶暴だし、うるさいし、面倒くさいしさ」

「だな」

「そこフォローして!」

「本当のことだし。でも、そういうとこもひっくるめていいと思うけど」

照れくさそうに視線を逸らした喜久本は、いつもの雰囲気とは違っていてかわ……——いや、急に俺も恥ずかしくなってきた。