「凪ちゃん」
百瀬さんがゆた先輩の隣で不安げな眼差しを私に向けてくる。
「あの……っ」
その表情は、なにかを言いたそうだった。それを感じ取ったのかゆた先輩と敦士も黙り、沈黙が流れる。
もじもじとしながら百瀬さんの目が潤んでいく。
「お願い……静くんを奪わないで」
「奪うって……」
なにを言ってくるのかと思いきや、百瀬さんの口から出てきた言葉に驚いた。
「ずっと好きだったの……っ」
そんなこと昨日見ていればわかったよ。
驚いていない様子を見ると、ゆた先輩も敦士も知っているのだろう。
キスをされた真意はまだわからないけれど、田中くんは百瀬さんのことを好きなのかもしれない。
それなら私はきっぱりと諦めるしかないとわかっている。
だけど……それなら一つ疑問がある。



