「なんでここに……っ!」
「だから、ここは俺の場所」
「いや、私が先にきたんですけど」
今まで一度も出会ったことがなかったけれど、まさかこの人もお気に入りの場所だったなんて。
燃えるような紅い髪。そして、真っ黒な瞳に無表情。
田中くんとはそんなに似ていないけど、目元が少し似ている気がする。
「凪沙」
意識してみると、声もちょっと似てる。だから、この人の声いいなって思ったんだ。
それに左頬が腫れている。昨日の乱闘で負った怪我だろうか。
「それ……」
「ん?……ああ、静にやられた」
「えっ?」
田中くんが、敦士を殴ったってこと?
想像がつかなくて眉根を寄せる。だけどプールでの田中くんを思い出すと、普段よりも醸し出す雰囲気が鋭くて危うい感じはあった。
「俺と本気で付き合おう」
「はい?……いやいや、なんでいきなり」
「強い女が好きだから?」
疑問形で告白されても嬉しくない。
それって付き合うなら強い女が良くて、偶然それっぽいのを見つけたから私でいいやって感じにしか思えない。



