「アイツらは俺を自分たちの仲間に入れたいんだよ」
「……田中くんが強いから?」
「あー……まあ、それよりも幼馴染みだからかもな」
あの光景を見れば田中くんが強いのはわかる。
それに田中くんとあの不良たちの仲が良いのはわかった。
じゃあ、どうして田中くんは敦士との関係を隠して、距離をとっているんだろう。
「でも断った。俺は勉強に専念したいし、アイツみたいに外でストレス発散するようなやつになりたくない」
……アイツって敦士のことだろうか。
「俺らは元々地元で喧嘩ばっかりしてたんだけど……母さんが死んで、アイツは更に荒れたんだよ。で、父さんは考える時間をなくすように仕事ばっかりになった。俺は……しっかりしないとって思ってさ。喧嘩とかそういうの一切やめたんだよ」
初めて聞く田中くんの家の事情。
いつも田中くんは自分のことをほとんど話そうとはしなかった。きっと田中くんにとって家の事情は触れたくなかったんだろうな。
だから、敦士がお兄さんだって事も教えてくれなかったのかもしれない。
もしも話してくれていたら、私はどうしていたんだろう。



