「茅織のことも助けてくれたらしいけど、それならもっと確実な場所に逃げるべきだった。 真っ向から相手と戦うとかするな」
先程とは違う胸の痛みに戸惑った。
なんで……?
今、田中くん————百瀬さんのこと〝茅織〟って言った?
「ちょっと怒り過ぎ難じゃない? 悪いのは俺らだし」
ゆた先輩が諫めるように田中くんの肩に手をのせた。
「お前らにもすげー腹立ってる。けど、注意してんのに関わってた喜久本にも腹立ってる。軽率すぎる」
「静くん! 凪ちゃんを怒らないで!!」
百瀬さんが田中くんの腕にぎゅっと抱きつき、頬を染めながら見上げている。
田中くんは困ったように百瀬さんを見下ろすと、小さくため息を吐いた。
……なにこの、ふたりの空気。
顔見知りとかそんなんじゃない。もっと親しい関係に見える。



