田中くんは私をおぶったまま、校舎の中へと足を進めた。
ところどころに倒れている男子たちがいて、同じ高校の制服の人もいれば他校もいる。
だけど私が知っている顔はいないため、おそらくこの喧嘩は敦士たちの勝ちなんだろうと悟った。
「ねえ、田中くん……私歩けるよ」
全くへばる様子なく田中くんは一段、また一段と階段を上がっていく。
「優しくするの今だけだから大人しく優しくされてなよ」
「え、今だけなの?」
びしょ濡れだし、人を背負いながら階段を上がるのはきついはずだ。
それに田中くんだって背中濡れてしまう。
「今は喜久本が弱ってるから優しくしてるだけ」
「じゃあ、ずっと弱っておこう」
「置いてく」



