冷えていたはずなのに身体中が熱いし、心臓がまだ騒がしい。
「そ、そもそも消毒って、私キスされたなんて言ったっけ?」
「は? されたわけ?」
「え、いや、されてないんだけど……だから消毒をする必要は、その」
「嫌だった?」
そんな聞き方はずるい気がする。
嫌かと言われたら、田中くんにキスをされたとき不快感は全くなかった。
むしろ私の心臓がどうかしてしまったのかってくらいバクバクしていたほどだった。
「喜久本、俺結構怒りっぽいから」
「……それは知ってるけど」
普段から一緒にいたら、そこはなんとなくわかっている。優しいけど、怒りの沸点も低い。
「そ? わかってるならいいけど。あと、これ着てなよ」
「あ、ありがとう」
田中くんに渡されたブレザーを大人しく羽織る。
表はシャワーで少し濡れてたけど、中は暖かかった。



