苦しくて視界が潤んでくると、田中くんが私から離れていく。
「はぁ……」
呼吸が乱れ、顔が熱い。
酸素が恋しくて、だけど離れていった感覚が名残惜しい。
「消毒完了」
ぺろりと私の上唇を舐め上げると、田中くんが不敵に微笑んだ。
「た、田中くん!」
鼓動が五月蝿いくらいに騒ぎだし、完全に私の思考の邪魔をしている。
ええっと、これどういう状況なんだっけ。なんでいきなり私、キスされたの?
「なに」
「今のって消毒なの? 違うよね!?」
「消毒だけど?」
いや、この人おかしい。絶対おかしい。
チューが消毒だと思い込んでる。絶対おかしい。
ついでに言えば、私の心臓もおかしい。破裂しそう。



