「やり返したし! だからここに今いるわけで!」
必死にバスケットボールを投げたことなどを説明をするけれど、田中くんは納得していない様子だ。
「消毒するけど、いい?」
「消毒? いいけど、別に血が出るような怪我はしてないよ?」
「同意したな」
「え、うん」
それに保健室って今空いていないと思う。
殴られたのだって、痣ができるかもしれないけれど、消毒は必要ない。それより早く着替えたい。
「とりあえず、田中くんがいてくれてよかった。でも、田中くん誰から私が捕まったこと聞いたの?」
はあ……っと悩ましげなため息が落ちてくる。
「……なんか、怒ってる?」
メガネのない田中くんは大人っぽくて、調子が狂ってしまう。
「喜久本、いい子だから少しの間口開くなよ」
「え?」
どういうこと?と聞く前に、田中くんの顔が近づいてきた。



