たすけて!田中くん



「……こっち来い」

「えっ、ちょ!」

腕を掴み、強引に歩き出す不機嫌な男子。

この人は一体誰?

されるがまま連れてこられたのは、外に備え付けられたコンクリートの壁に囲われている外のシャワー場。

シャワーを捻ったらしく、サァアアっと冷たい水が私の頭上に降り注ぐ。



う……まるで拷問。

けれど、男子はお構いなしに私の頭や制服についた苔を洗い流していく。



「ぶえっ」

「汚い」

「だって乱暴にするから! 水が鼻とかに入る!」

自分もちょっと濡れると思うんだけど……いいの?

冷たくないのかな。 秋の夜って肌寒いのに。

あー……やばい。ジャージ昨日持って帰っちゃったんだった。


早く帰って着替えないと。風邪はひきたくない。


「お前……なんつぅ格好してんだよ」

「いや、だから! 落ちたのはあの男のせいだって」

シャワーが止められて、前髪を掻き上げる。

視界に入った目の前の男子は……



「だ、誰?」

「は?」


少し乱れた黒髪に目尻がほんの少しつっている。

華奢で、私よりも少し高い身長。


「誰……?」