たすけて!田中くん




「ぐあ、やめっ」

プールサイドで複数の男子生徒が伸されている。

これ一人でやったってすごいな……。


その内の意識のまだある一人が、後頭部を掴まれて苔まみれで汚いはずのプールの中に顔面を突っ込まれてる。


うわぁ……エグい。

この喧嘩終わらせるためにも私は無事だよって言うべきだろうか。

なんて声をかけるか迷いながら敦士の仲間に近づく。


「あのっ、うわ!?」

「てめぇ、なんでここにいやがる!?」

ぐっと足に何かが当たり、引っ張られる感覚に全身が粟立った。

足下に視線を向ければ、まだ意識があったらしい地面に伏していた男に足を掴まれている。


その男の顔を見て、驚愕した。

見張りをしていた一人で、倉庫から出て行った男だった。


「ちょっ!」

「くそっ! こいつがどうなってもいいのか!?」

起き上がった男が私の腕を掴んで、プールに落とそうとしてくる。

ま、まずい。ちょっとでも体制崩したら落ちる!


「おい! てめぇ、聞いてんのか!?」

ゆらりと立ち上がった線の細い男子。

俯いていて、顔がよく見えない。


「えっ!」

「っ!」

そして、あろうことか男は足がもつれたようで私を掴んだまま、道連れにしようとしてくる。私は抵抗することもできず、大きな水しぶきを上げて苔まみれのプールに落っこちた。