「きっと〝アイツ〟がいるから」 「アイツ? 誰のことですか?」 ゆた先輩の言うアイツが誰なのかわからない。 もしかして敦士? 「凪沙ちゃん」 「はい?」 「少しだけでいいから……元気、ちょうだい」 「……ちょっ、!?」 顔を上げた時には、既に頬に伝わる柔らかな熱。 ちゅっと甘い音を残して、オレンジ色の髪の男がふわりと微笑む。 「ごちそうさまでした」 言い返す間もなくゆた先輩は再び乱闘の中へと消えていってしまった。