たすけて!田中くん



「大丈夫です」

弱さなんて無理矢理捻り潰す。


「凪沙ちゃん……。ごめん、俺らのせいで。離れるタイミングが遅過ぎた」

「いや……別に元々私はお姫様守るためのダミーみたいなものだったわけですし」

「本当にそう思ってる?」

「は?」

返ってきた言葉が意外過ぎて、今度は私が眉間に皺を寄せてゆた先輩を見つめ返す。


「利用したってことには変わりないかもしれないけどね。でも、ダミーにしようなんて俺も敦士たちも思ってないよ」

「それってどういう意味ですか? だって私は囮なんじゃ……」

「近づいた理由は利用だけど、君が思っている利用とは違う。結果的にダミーみたいなことになっちゃったけど……君には何一ついいことなんてなかったかもしれないけど」


それって私が立ち聞きした理由が真実ではないってこと?


「……どうやら勝手なこと言ってる連中がいるらしいね」

困惑しているとゆた先輩がふっと柔らかく微笑む。



「とにかく今はまだこの辺は危険だから、プールに行きな。ね?」

「え、プールですか?」

この時期に? あの苔だらけのプールに?
そこが一番安全ってことだろうか。