たすけて!田中くん



「ちょ、やめてってば!」

普段は威勢がいい方だとは思うけれど、さすがにこの状況では声が僅かに震える。

男の目は完全にスイッチが入っていて気味が悪い。


「あいつも彼女が傷つけばちょっとは顔色変えるだろ。どうする? 骨でも折るか?」

首に男の手が触れて、ぞわりとした。

片手でグッと首を締め上げられて、呼吸がしづらくなっていく。


「ちょっと怪我する程度にしてやるつもりだったけど、抵抗すんならもっと痛い目見させんぞ」

「ッ、ぐ……」


ベチンと小気味いい音を立てながら私の頬が殴られた。目の前の男は女に手を上げることに躊躇がない。


首を絞められているせいで、体の力が抜けていく。

呼吸ができなくなって生理的な涙が眼を覆う。


これは一体なんの罰だろう。

幼い頃から近所の男子たちと喧嘩ばかりして暴れて、泣かせてきたツケかな。

それともこの間敦士たちのたまり場をぐちゃぐちゃにしたこと?


思い当たる事なんて多すぎてわからない。