たすけて!田中くん



「凪ちゃん、あっくんに連絡とれたよ! 来てく」

「静かに」

複数の足音が近づいてくる。

荒々しい歩き方で、なにか喋っているようだ。


敦士たちにしては早すぎる気がする。

それにドアを開けながら歩いているようで、思いっきり開かれる音が聞こえた。

と、いうことは相手はわかりきっている。



「な、凪ちゃん……」

「百瀬さんのことを探している男子だと思う」

まずい。ここに来るのも時間の問題だ。念のためと思って鍵のかかるこの場所に逃げ込んだけど、ここまで本気で捜してるなんて。


執念深く探しているのなら、鍵がかかっていても無理やり開けてくるかもしれない。


掃除用具入れを見やる。百瀬さんくらい小柄なら隠れられるだろう。


「そこの掃除用具入れの中に隠れて」

「え……でも、凪ちゃんは?」

「私のことは気にしなくていいから、敦士たちが来るまでは絶対にそこから出ちゃダメ」

「で、でも!」

捨てられた子犬のようにうるうるとした目で見つめられて、うっと顔を引きつらせる。私を心配しているのはわかるけれど、そんな目で見ないでほしい。


今は狙われている百瀬さんを隠すことが大事だ。