「噛み付いて、蹴っ飛ばして逃げてきたの」
「えっ」
「だって私が捕まったら、みんなの足枷になっちゃうでしょ? 私、ただでさえ荷物なのに大人しく捕まったりしちゃダメだって思ったの」
「……そっか」
ちょっと意外だった。
百瀬さんにもこんな一面あるんだ。ただ守られているだけで、泣き虫な子かと思ってた。
……巻き込まれた以上は、仕方ない。必死に逃げてきた彼女を、敦士たちがくるまでは隠さなければ。
「いつその男たちがここに辿り着くかわからないから、早いとこ敦士たちに連絡して」
「う、うん……」
「あ、してるんだ」
スマホを握りしめ、誰かに電話をかけているところのようだった。
ディスプレイに映る<発信中>の文字。
かけている相手の名前が〝し〟という文字が見えたけれど、百瀬さんは手で隠してしまったため全ては見えなかった。



