たすけて!田中くん



清々しい朝、私は上機嫌で田中くんの隣を歩きながら登校していた。

今日は幸いにも他校の男の待ち伏せもなかったので、いい日だ。



「お前、なにしてんのマジで」

そう言って隣を歩く田中くんが横目で睨んでくる。


「た、田中くん!? なんでそんな冷たいこと言うの!」


田中くんの腕を掴もうとすると悲しくも腕を高く上げられて、避けられてしまった。



「ひどい!」

「はいはい」

「もしかして引いてるの!?」

どうして大親友の私たちがこうなったかというと、登校中に偶然にも出会った田中くんに昨日の出来事を話すと、先ほどの言葉を浴びせられたのだ。


「普通の女子がそんなことしないでしょ」

メガネの奥の目が細められ、私を呆れ気味に見つめている。

そんな目で見ないで田中くん!


「だって! 頭にきたし……やられっぱなしなんて嫌だし」

好き勝手に利用されていたなんて黙っていられないんだもん。

そりゃ、褒められることをしたわけじゃないのはわかってるけど、向こうだって酷いじゃん。



「危ないことはしないほうがいい」