銀色の錆びたバケツの中身をひっくり返す。そして、空になったバケツを敦士に向かってぶん投げた。
しかし、それは呆気なく敦士にキャッチされてしまった。けれどそれは想定内。
部屋の中にどろりとした液体が広がっていく。
「凪沙、なにして……」
「清水くんはいい人だと思ってたけど……結局全部知ってたってことだもんね」
「いきなりどうしたんだよ! てか、何流したのそれ!」
離れた方がいいって言ってくれたのは、少しは良心が残っていたからだと思う。
だけど、もっと早く止めてほしかった。だって色々と起こってからじゃ遅すぎる。
「私がどんだけ嫌がらせ受けたと思ってんの? くだらないことに巻き込まれて散々だよ!」
なにを言ってもこの人たちには無意味な気はするけれど、この際言いたいことをぶちまけてしまいたい。
「自分が一番大事なのはみんなそうだろうけど。誰かを生贄みたいにして好き放題巻き込むのは、間違ってるよ」
ゆた先輩を睨みつけると、何か言いたげにこちらをじっと見つめている。
どんな事情があろうと、私の平穏な日常を壊したことは許さない。



