「……え?」
「黙ってれば」
田中くんが私にわけのわからない爆弾を投げつけてきて、困惑する。
今〝かわいい〟って言った? 正気!?
いやでも、からかっただけかもしれない。間に受けちゃだめだ。第一あの田中くんが私に向かってかわいいとか口にするわけがない。
「顔赤くなってるけど」
「っ、なってないし! 冗談だってわかってるし!」
「へぇ」
含んだような田中くんの笑みに、酷く動揺してしまって指に針を思いっきり刺してしまった。
「痛!」
指先から血がぷっくりと溢れてくる。これ地味に痛い。しかもさっきも何度か刺したところなので、赤くなっている。
「馬鹿。貸して」
「あ、」
私の指をとり、すかさず鞄から出したポケットティッシュで血を拭ってくれる。
それだけでも驚きなのに、どこから取り出したのかスマートに絆創膏を指に貼ってくれた。
「つけるほどじゃないかもだけど、念のため。また刺しそうだし」
「あ、ありがと」
「気をつけろよ」
「……うん」
指先に貼られた絆創膏を眺め、口元が綻ぶ。
やっぱり田中くんって優しい。



