それは突然の事だった。

それを予告する出来事は何もなかった。

窓の外を眺め,ふらふらと移動教室のために廊下を歩いていた時。

ードカッ

何かがぶつかった。

あくびをしながらそれをみると,どうやら俺にぶつかったのは人だった。

恐らく同級生の女子。

見たことがあるような? 気がするような気がする。

そこまで確認して,俺の興味は失せる。

友達の分まで運んでいたのだろう。

ぶつかった女子の視界を塞いでいたであろう教材やら何やらが散らばっている。

普段なら何も言わずに去っていた俺。

だけど,その時は拾うのを手伝ってやった。

廊下を走るやつが悪いとは言え,俺も前を見ていなかったし,気まぐれと言うやつだ。

拾いながらふと思う。

俺に非がほんの少しあったとは言え,結局悪いのはこいつ。

何で俺手伝ってんだろ。

少し考えて,めんどくさくなって止めた。