追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「私の噂? どんなことかしら。この前、袖を引っかけてミルクポットを倒してしまったことなら謝るわ。ごめんなさい。袖がひらひらしたドレスにまだ慣れていないのよ」

「いえいえ、悪い噂ではありませんよ。お可愛らしくて気さくで、私どもにもこうしてお声をかけてくださる優しい方だと話していたんです」

褒められて頬を染めたら、メイドたちの目が揃って弓なりになった。

いい印象をもたれているモニカだが、メイドの立場からすると手伝いを申し出られるのは困るようだ。

籠に入っている洗濯物に手を伸ばしたモニカに、メイドのひとりが慌てて言う。

「モニカ様、そこの森を散策されてはいかがですか? 秋になって葉が色づいて綺麗です。ならや楓のどんぐりもたくさん落ちていますよ」

「どんぐり! ロストブにはほとんどないのよ。珍しいから拾ってくるわ」

城壁の内側は広大で、住まいのある大邸宅以外にも使用人や兵士の宿舎、国軍の詰所、離宮や迎賓館など大きな建物がある。

南の正門側は整備された美しい庭園が広がり、北側は森のように木立が密集していた。