追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

(女の子はセーラー服を着ているわ。家族で朝食を食べているのね)

見たことのないはずの服や食べ物の名前がわかり、懐かしさを覚えるのはなぜだろうか。

ずっと見ていたい気持ちにさせられたが、家族の姿は泡となって消え、隣に違う幻が現れた。

セーラー服と詰襟の学生服の男女が三十人ほど机に向かっている。

大人の男性がひとり教壇に立っていた。

(英語の授業ね。さっきの女の子がいる。居眠りをして……あ、先生に注意されたわ)

それもすぐに消え、次に現れたのは夜の光景。

大きな川の岸辺にカラフルな提灯が吊り下げられ、お好み焼きやチョコバナナ、射的やくじ引きなどの屋台が連なっている。

近くには立派な神社があり、その参道や境内も提灯で照らされていた。

神社の夏の例大祭が行われているようだ。

大勢の人がごった返す中、神社の境内にあの女の子の姿があった。

浴衣姿の友人ふたりと笑顔で話す彼女は、白い着物に赤い袴の巫女装束である。

やがて三人は手を振り別れた。

賑やかな屋台の方へ戻っていく友人を見送る彼女は寂しそう。

けれどもすぐに口角を上げ、本殿の方へと駆けていく。