追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

パッと笑顔になったモニカに一礼し、ナターシャが出て行った。

モニカは居間の明かりを消して寝室へ行く。

ベッドサイドのランプは灯したままガウンを脱いでベッドに横になると、いつものようにガラス玉を取り出して目の前で揺らした。

「水の精霊さん、今日呼びかけてくれたのはあなたなんでしょう? もう一度声を聞かせて」

静かな部屋に返事はない……と思ったら、ガラス玉からなにかが聞こえ、モニカはハッとして耳に当てた。

「モニ……我は……」

「水の精霊さんね? なに? よく聞こえないわ」

声はわかるが、まるで水の中にいるかのように聞き取れない。

ブクブクゴポゴポという雑音が大きくなるとますます精霊の声は届かなくなり、それに伴い強烈な睡魔に襲われた。

(寝ている場合じゃないのに……)

しかしモニカの瞼が完全に閉じたら、暗闇の中に人の姿が見えた。

白いローブをまとい、肌や膝丈までの長い髪が水のように透き通っている。

後ろを向いているため顔が見えないが、中性的な印象だ。

(あなたが私に憑いている精霊さん?)

水流のように波打つ髪を揺らして精霊が頷いた。

『我の力が欲しいか?』