大人か子供か男か女かもわからず、聞こえた方向も定まらない不思議な声だった。
耳を澄ましたが住人たちの話し声や木の葉の擦れ合う音しか聞こえず、モニカは首を傾げながらも足を前に進めた。
十五分ほど歩くと、鶴亀亭の看板が見えた。
ほぼ毎日のように城を抜け出しており他の地区も散策済みだ。
ここに来るのはすでに五度目で、今日も通りまで漂うだしの香りにモニカの腹がグウと鳴った。
(ここに通うと太りそうね)
「こんにちは」
入店すれば、ドニが笑顔で調理場から出てきた。
「モニカいらっしゃい。来てくれて嬉しいよ。君に会わないと一日が始まらないし終わらないんだ」
「ドニって面白いことを言うわよね」
彼が薄っすら頬を染め妙に張り切った顔をしている理由に、モニカは少しも気づいていない。
店内を見回せば、テーブル席で幼児をふたり連れた若夫婦が賑やかに食事中だ。
客はそのひと組だけなのだが、食べ終えた食器が他のテーブルやカウンターにのったままなので、つい先ほどまでは忙しかったのだろう。
モニカは腕まくりをしてドニに申し出る。
「お皿洗いを手伝うわ」
耳を澄ましたが住人たちの話し声や木の葉の擦れ合う音しか聞こえず、モニカは首を傾げながらも足を前に進めた。
十五分ほど歩くと、鶴亀亭の看板が見えた。
ほぼ毎日のように城を抜け出しており他の地区も散策済みだ。
ここに来るのはすでに五度目で、今日も通りまで漂うだしの香りにモニカの腹がグウと鳴った。
(ここに通うと太りそうね)
「こんにちは」
入店すれば、ドニが笑顔で調理場から出てきた。
「モニカいらっしゃい。来てくれて嬉しいよ。君に会わないと一日が始まらないし終わらないんだ」
「ドニって面白いことを言うわよね」
彼が薄っすら頬を染め妙に張り切った顔をしている理由に、モニカは少しも気づいていない。
店内を見回せば、テーブル席で幼児をふたり連れた若夫婦が賑やかに食事中だ。
客はそのひと組だけなのだが、食べ終えた食器が他のテーブルやカウンターにのったままなので、つい先ほどまでは忙しかったのだろう。
モニカは腕まくりをしてドニに申し出る。
「お皿洗いを手伝うわ」


