追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「追いつかれちゃう。お姉ちゃんのせいだよ!」

(えっ)

鬼役の子が駆けてきたので、男の子は慌てて走り出した。

お礼ではなく文句を言われたモニカは目を瞬かせたが、ふたりの子供を見送った後はフフと笑った。

(楽しそう。遊びに戻れてよかったね)

モニカが助けなければ、あの子は着替えのために帰宅し母親に叱られたことだろう。

罰として今日は家にいなさいと言われそうな気もする。

そうならなくてよかったと思うと嬉しくなった。

ちっぽけな人助けでお礼さえ言われなかったが、不思議と井戸掘りの住人たちに感謝された時よりも清々しく、純粋で混じりけのない喜びが広がったのを感じている。

(やっとわかったわ。あの子が元気に走っていっただけで充分なのよ。人助けって感謝されるためにするんじゃないんだわ)

モニカが大切な気づきを得たその時――。

「……モニ、カ……」

誰かに呼ばれて辺りをキョロキョロと見回した。

通りを歩く人は数人いるが、誰とも視線は合わず、近くの民家の庭先にいる女性ふたりも世間話をしていてこっちを気にしていない。

(空耳?)