追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

お下がりだろうか、ぶかぶかなズボンをサスペンダーで吊るし、日焼けした肌にそばかすを散らしたやんちゃそうな子だ。

「逃げろ!」と言いながら笑顔で走ってくるので、友達と鬼ごっこの最中なのかもしれない。

微笑ましく思っていたら、その子がモニカの目の前で派手に転んだ。

運悪くそこは水たまりで、ムクリと起き上がったその子の顔も服も泥水で汚れていた。

男の子が顔をくしゃくしゃにして泣き出したので、モニカは慌ててしゃがみ声をかけた。

「どこか痛い?」

しゃくりあげながら首を横に振った男の子は、「服」と涙声で言う。

「今日は汚すなって言われたのに、お母さんに叱られる」

怪我はないようでホッとしたモニカは「大丈夫よ」と男の子の顔をハンカチで拭いてあげてから、濡れた服に手のひらをかざした。

すると、見る見るうちに水が気化する。

あとは乾いた泥をポンポンとはたいて落とせば、母親に叱られない程度の服の汚れ具合に見えた。

泣き止んだ男の子はズボンや服を確かめて目を丸くしている。

そこに「あ、いた!」というもうひとりの子供の声が聞こえ、男の子はハッとして振り向いた。