追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「そうね。リンゴじゃ申し訳ないわ。モニカさん、ワインと生ハムはお好き?」

「あの、私は果物が大好きなのでリンゴをいただきます」

甘酸っぱいリンゴをシャリシャリと咀嚼しつつ、モニカは照れ笑いする。

感謝されるのは気分がいいものだ。

(教会の先生たちに言われてする人助けと、満足感が違うわね。陛下が仰っていたのってこういうことかしら?)

自分の意志で困っている人を助けてみたが、ふとなにか違うのではないかという気もした。

(しっくりこないのはどうして?)

住人たちは口々にモニカにお礼を言い、もっともてなしたそうである。

けれどもモニカはリンゴを食べ終えると用があるからと別れを告げ、来た道を引き返す。

鶴亀亭に寄ってから帰ろうとしていた。

(なにが違うのかしら……)

考えるのは相変わらず苦手だが、疑問を頭の隅に追いやったりせず、自分の心と向き合う努力をするようになった。

うんうん唸って歩いていると、前方からはしゃいだ声が聞こえ、五歳くらいの男の子が駆けてきた。