キスは一瞬だけですぐに離してもらえたが、モニカは驚きすぎて文句も言えない。

「お前の唇の感触を今知った。プリンのようだな」

してやったりと言いたげな顔で下唇を舐めた彼。

やっと思考が働きだしたモニカは高鳴る動悸の中、恥ずかしさに真っ赤に顔を染めて抗議した。

「私に手を出さない約束は!?」

「約束したつもりはない。『お前の要望はわかった』と言っただけだ」

「そんな……」

一応の安心は得られたと思っていたのに、警戒して過ごさなければならないのかとモニカは愕然とした。

けれどもシュナイザーにさらなるダメージを与えられる。

「冗談はさておき」

(私のファーストキスは冗談だったの!?)

前髪を掻き上げたシュナイザーが真剣な顔をするから文句を言いそびれる。

「お前はもう教会から解き放たれたんだ。今後は自分で考えて判断し行動しろ」

「自分で……」

「そうだ。力を使っていいかどうか決めるのはお前だ。なぜ精霊憑きで生まれたのか、生きる意味を自分で見つけ出せ」

シュナイザーもバンジャマンもナターシャも、自分で考えろと同じことを言う。

モニカは眉尻を下げてうつむいた。