追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~


「モニカは何者なの?」

そう尋ねられたので正直に答えようとしたけれど、口を開く前にバンジャマンがドニを諫めた。

「これこれ、レディに失礼なことを聞くもんじゃない」

「年齢や体重を聞いたわけじゃないのに?」

「お嬢さんはお嬢さん。どこの誰でもいいんじゃ。そんなことよりドニは働いてくれんかの」

「お客さんがいないよ」

「お嬢さんにうどんをご馳走したいんじゃ。表の鉢植えからネギを引っこ抜いてこい」

(うどん。それも知ってるわ。食べたことがないのに)

外まで漂っていたいい香りはうどんのだしだと気づく。

お腹は空いていないのに久しぶりに食べたいという気分になり、疑問がまたひとつ増えてしまった。



モニカが鶴亀亭を出た頃、ナターシャは皇帝執務室に呼ばれていた。

本や書類がぎっしり詰まった大きな書棚が五つに柱時計、休憩用のソファセットがあり、執務机は部屋の中央にドンと構えている。

機能的で装飾性の少ない部屋だ。

ここにいるのはふたりだけで、執務机に向かっているシュナイザーが「どうだ?」と問う。