顎髭は長く、邪魔になるなら切ればいいのにわざわざ紐で結わえていた。
料理人らしからぬ印象を与える老爺だが、元来人好きなモニカは苦手に思わずにっこり微笑んだ。
「こんにちは。ドニからこの食堂のことを聞いて連れてきてもらったんです。あ、でも昼食を取ったばかりでお腹が空いていないの。注文できなくてごめんなさい」
ナターシャが渡してくれたお小遣いがあっても食べられそうにないと気づいて謝れば、バンジャマンがまた笑った。
「構わんよ。ゆっくりしておいき。置物でも見ていけばいい」
バンジャマンが指さしたのは入り口近くの棚で、左手を上げた陶器の白い猫と赤くて丸い飾り物が並んでいた。
赤い方は勇ましい顔が絵の具で描かれているのだが、なぜか目の玉が片目しかない。
(不思議な置物ね)
そう思うのに、モニカは無意識に呟く。
「招き猫とだるま……」
「え?」という驚きの声がドニと重なった。
ドニが興奮気味にモニカの肩を掴んで振り向かせる。
「すごいよモニカ。店名の鶴といい、なんで知ってるの?」
このふたつの置物はバンジャマンの創作で、名前も彼が適当につけたとドニは言った。
料理人らしからぬ印象を与える老爺だが、元来人好きなモニカは苦手に思わずにっこり微笑んだ。
「こんにちは。ドニからこの食堂のことを聞いて連れてきてもらったんです。あ、でも昼食を取ったばかりでお腹が空いていないの。注文できなくてごめんなさい」
ナターシャが渡してくれたお小遣いがあっても食べられそうにないと気づいて謝れば、バンジャマンがまた笑った。
「構わんよ。ゆっくりしておいき。置物でも見ていけばいい」
バンジャマンが指さしたのは入り口近くの棚で、左手を上げた陶器の白い猫と赤くて丸い飾り物が並んでいた。
赤い方は勇ましい顔が絵の具で描かれているのだが、なぜか目の玉が片目しかない。
(不思議な置物ね)
そう思うのに、モニカは無意識に呟く。
「招き猫とだるま……」
「え?」という驚きの声がドニと重なった。
ドニが興奮気味にモニカの肩を掴んで振り向かせる。
「すごいよモニカ。店名の鶴といい、なんで知ってるの?」
このふたつの置物はバンジャマンの創作で、名前も彼が適当につけたとドニは言った。


