追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

嫌なことや納得できないことがたくさんあっても、どうして?と疑問を持ったところで変えられないのだから、そういうものだと思った方が楽なのだ。

鶴についての疑問を頭の隅に寄せてしまえばもう気にならず、モニカは自分もこれから東地区に行くのだと話した。

「私はモニカ。あなたのお名前は? 鶴亀亭に興味があるわ。よかったら連れていってくれないかしら」

「僕はドニだよ。もちろんお客様は大歓迎さ。でもモニカ、君は東地区に用事があって行くんだろ? 寄り道していいのかい?」

「用事はないわ。ぶらっと遊びに行くだけなの」

「東地区に? 変わってるね」

乗り合い馬車に揺られること三十分ほど。

東地区の停留所に着く頃には、ドニとすっかり打ち解けて仲良くなっていた。

馬車を降りてからはドニについて住宅地を進む。

地面は舗装されておらずでこぼこの赤土がむき出しで歩きにくい。

この辺りは漆喰壁の平屋が多く、ひび割れていたり汚れていたり、メインストリート沿いの建物に比べるとかなり貧相だ。

一本中道に入れば道幅は荷車一台分ほどで、馬車は通れそうにない。