追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

「あら、道具だけ貸してくれたら自分でやるわよ」

「とんでもございません。掃除はメイドか私がやります。モニカ様は自由になさってくださいませ」

「自由にさせてもらえないもの」

モニカは小花柄のふかふかのソファに腰を下ろし、刺繍入りのクッションを抱きしめてため息をついた。

ナターシャが掃除の手を止めて首を傾げる。

「陛下がなにか困ることでも仰ったのですか?」

口を尖らせたモニカは、大人しくしていろというシュナイザーの命令を話した。

「街や港の見物を楽しみにしていたのにがっかりよ。もうこうなったら勝手に抜け出そうかしら?」

本気ではなく冗談で言ったのだが、ナターシャが眉尻を下げて黙り込んだ。

(もしかして呆れたのかしら。街に行きたいと言ってはいけなかったのかも)

ナターシャのことはまだよくわからない。

見た目からは真面目な印象を受けるので、皇帝妃に相応しくないと思われていそうな気がした。

「あの、ごめんなさい。苦手でもお勉強をするわ。勝手に抜け出したりもしないから安心して」

誰も知り合いのいないこの国で、侍女が一番身近な存在となるだろう。