追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~

双子がここに来るのは初めてで、祭壇というからには立派にあつらえられているのだろうと思っていたらしく、ただ地面に石が敷いてあるだけの一角に拍子抜けしていた。

そこをグルグルと走り回って遊ぶ無邪気な子供とは違い、モニカは胸を痛めていた。

(ここに来ると、六年前に気持ちが戻されるわ……)

大災厄と戦うモニカを支え続けたシュナイザーは魔力を使い果たし、体は限界に達して息絶えた。

あの時はひとりで生き残っても意味はないと感じて、嘆き悲しんだモニカであったが――。

「フローラ、クリストフ、ここは祈りの場よ。走らないで」

果物と花を手向け、銀の杯にひと筋の雨を降らせて水を満たし、それも供えた。

子供たちを左右に並ばせて膝をつき、両手の指を胸の前で組み合わせる。

その手の中には紅白の組紐のついたガラス玉がある。

前聖女ローラがバンジャマンのために作ったお守りだという話は大災厄後に聞いた。

彼女を含め、アグニスから始まる歴代の聖女たちに感謝と哀悼を捧げるために、モニカは毎年ここを訪れている。

モニカが目を閉じようとしたら、急に大きな影が横切りハッとして空を見上げた。